読書

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秋岡伸彦『ドキュメント榎本武揚』東京農大出版会(2003) ISBN:4886940374 当時の読売新聞記事によって榎本武揚の足跡をたどる試みのようだ。しかし、ならばもっと新聞記事を中心に据えてもよいのではないか。新聞記事をあえて使っている意図があまり伝…

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飯尾潤『日本の統治構造』中公新書(2007) ISBN:9784121019059 今、日本の政治システムについて学びたいのであれば、間違いなくこの本をすすめたい。 「はじめに」で著者は、次のように述べる。「説明のなかには、これまで聞いてきた話とは違う、目新し…

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柳家小三治『ま・く・ら』講談社文庫(1998) ISBN:4062637774 カバーによれば、「まくらの小三治」の真骨頂、とのこと。まくらばかり17話おさめられている。 まくらを独立させて集めるという発想が面白い。もちろん、面白いまくらだからこそ、集める…

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佐々木毅・吉田慎一・谷口将紀・山本修嗣編『代議士とカネ』朝日選書(1999) ISBN:4022597259 1996年総選挙で小選挙区に立候補して当選した代議士384人(復活当選も含む)を対象にして、公開情報を整理分析、政党支部・資金管理団体・後援会に分…

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佐藤誠三郎・松崎哲久『自民党政権』中央公論社(1986) ISBN:4120014770 自民党研究の古典的名著。第2部・第3部に付された資料は、「基本的事実の確定」という基礎作業だけに、読むものではないが、とても重要な資料になっている。 この本が出版され…

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猪口孝・岩井奉信『「族議員」の研究』日本経済新聞社(1987) ISBN:4532094402 本書が扱う「族議員」の分析は、主に、「族議員」のキャリアのモデルケースの検討(第4章)、「族議員」の分類(第5章)、政策決定過程における「族議員」の影響(第6章…

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新藤宗幸『概説日本の公共政策』東京大学出版会(2004) ISBN:4130322060 著者いわく、「行政学(地方自治論)の観点から、日本の公共政策を考えるためのテキストとして執筆したもの」。法科大学院設立の頃、あわせて公共政策大学院なるものがいくつか設…

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南伸坊『冗談ばっかり』ちくま文庫(1986) ISBN:4480020969 「あとがき」にはこうある。「「冗談ばっかり」というのは、ホンの冗談で、ばっかりというワケにはいかない。けっこうマジメなことも書いてしまっていて、メンボクないことです」。また、本文…

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新藤宗幸『技術官僚』岩波新書(2002) ISBN:4004307740 日本の官僚制を分析対象に選ぶと、どうしてもいわゆるキャリア組事務官にばかり注目してしまう。たしかに、彼らが日本の行政において果たす役割は大きい。そのため、キャリア組事務官を分析すれば…

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佐道明広『戦後政治と自衛隊』吉川弘文館(2006) ISBN:4642056122 戦後日本の防衛をめぐる政治に関する格好の入門書。防衛政策に関して論じた書物は案外と少ない。(類書として、講談社現代新書に植村秀樹『自衛隊は誰のものか』があるが、今は絶版のよ…

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南伸坊『笑う哲学』ちくま文庫(1992) ISBN:448002641X 変な翻訳に疲れたので軽いものを読む。 どうでもいいことを独自の理屈で解釈した本。その独自の理屈が案外説得力をもつから面白い。

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渡邉文幸『指揮権発動』信山社(2005) ISBN:4797224347 副題は、「造船疑獄と戦後検察の確立」。造船疑獄において指揮権発動を入れ知恵したのは一体誰だったのか。この問いを基盤に、戦後検察の確立期を描く。 共同通信の記者であった著者は、「ジャー…

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門田博光『門田博光の本塁打一閃』ベースボール・マガジン社(2006) ISBN:458303928X 副題は「ホームランに魅せられた男」。ひたすらホームランにこだわった男、門田博光が自身の経験・考え方をまとめたもの。何かにこだわり、それをひたすら追い続ける…

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岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』岩波ジュニア新書(2003) ISBN:4005004415 岩波ジュニア新書で出版したことが惜しまれる。ジュニアと銘打たれたこの新書の想定読者は、たぶん高校生だろう。しかし、この本は高校生にだけ読まれるには惜しい。こんなに読…

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川又一英『麻布中学と江原素六』新潮新書(2003) ISBN:4106100320 本書は麻布中学を書きたかったのか、江原素六を書きたかったのか、やや中途半端だ。麻布中学の自由な精神を書くために、江原素六をとりあげたように読めるが、現代の麻布を論じるのに江…

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伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』名古屋大学出版会(2003) ISBN:4815804532 疑似科学をテーマにした科学哲学の入門書のようだが、入門書にとどまらない良書だ。成功の理由のひとつは著者の文章力にあろうが、そのほか2つばかり理由があろう。第1に…

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青山佾『石原都政副知事ノート』平凡社新書(2004) ISBN:4582852092 著者は東京都職員から石原慎太郎東京都知事第1期目の副知事をつとめた人物。副知事の視点から石原都政を高く評価したもの。批判する記述は全くないのは、知事と著者との信頼関係のあ…

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武村政春『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか』新潮新書(2005) ISBN:4106101483 副題は「遊ぶ生物学への招待」。想像上の生物を生物学的観点から分析して遊ぼうというもの。とりあげられているのは、飛頭蛮・ケンタウロス・豆狸・ぬえ・カオナシ・人魚・吸…

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広岡達朗『監督論』集英社インターナショナル(2004) ISBN:4797671165 著者の野球論。「監督論」という題名だが、この題名はやや狭い。 本書の主張をあえて一言でまとめれば、「人は育つ」ということ。著者の提言の底流には、この考え方が宿っている。

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江田五月『国会議員』講談社現代新書(1985) ISBN:4061457705 今から20年以上前の本だ。当時とは状況が大きく異なる。55年体制は崩壊し、自民党も一時期とはいえ野党を経験した。選挙制度も変わり、衆議院では小選挙区比例代表並立制、参議院では比…

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関口すみ子『国民道徳とジェンダー』東京大学出版会(2007) ISBN:9484130301428 本書は、序で著者が述べるとおり、「日本における「国民道徳」という思想の形成過程とその後の経緯を、家族と国家との関係、そこにおけるジェンダー(男/女)の機能の仕…

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佐々木信夫『都庁』岩波新書(1991) ISBN:4004301602 著者は元都庁職員。都庁についてコンパクトにまとめた本。「わかりやすく道案内をしてみようと試みた」という著者の目的は果たせている。 しかし、もう15年以上の前のものなので、今からみるとか…

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升田幸三『王手』中公文庫(2003) ISBN:4122041686 名人升田幸三のエッセイ。どんな分野であれ、その道を窮めた人の言葉には深みがある。著者独特の語り口がまた味を出している。現代からみれば差別的な表現も散見されるが、表現の変更をしなかった編集…

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北岡伸一『国連の政治力学』中公新書(2007) ISBN:9784121018991 東京大学法学部で日本政治外交史を教える著者が国連代表部次席大使として約2年半ほど活躍した頃の文章をまとめたもの。既発表のものをうまくまとめて1冊の本に仕上げている。異なった…

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小熊英二・上野陽子『<癒し>のナショナリズム』慶應義塾大学出版会(2003) ISBN:476640999X 副題は「草の根保守運動の実証研究」。保守運動に限らず、市民が主体となる運動の分析は、少なくとも日本語ではそれほど多くない。本書は、「新しい教科書を…

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松沢成文『この目で見たアメリカ連邦議員選挙』中公新書(1986) ISBN:412100812X 著者は現神奈川県知事で、元衆議院議員。この本は、著者が松下政経塾にいたとき、アメリカ連邦下院議員ベバリー・バイロンのスタッフとして活動したときの経験をまとめた…

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鄭大均『在日の耐えられない軽さ』中公新書(2006) ISBN:4121018613 著者の半生と父を振り返る自叙伝風エッセイ。著者の在日論の背景を記した本。 著者の妹は東京都の公務員昇進システムの国籍条項に関して最高裁まで争った鄭香均。兄妹であまりにも違…

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佐山和夫『野球とアンパン』講談社現代新書(2003) ISBN:4061496662 本書の問いは、「なぜ日本では、投手の投球に対するカウント・コールが、今もストライク先行なのか」というものである。筆者が国際野球連盟に問い合わせたところ、ストライク先行のカ…

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中沢新一『僕の叔父さん 網野善彦』集英社新書(2004) ISBN:4087202690 歴史学者網野善彦の義理の甥である著者の追悼文。著者と網野の出会いから始まり、各章が網野の『蒙古襲来』、『無縁・公界・楽』、『異形の王権』にあてられている。 著者は「あと…

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梅田望夫・茂木健一郎『フューチャリスト宣言』ちくま新書(2007) ISBN:9784480063618 読書は約半年ぶり。読書生活復帰後最初の本は、はてなからいただいたサイン本。実は、この本を読むまで梅田氏のことは知らなかった。茂木氏は、NHK等で何度も見…