読了

青山佾『石原都政副知事ノート平凡社新書(2004) ISBN:4582852092
著者は東京都職員から石原慎太郎東京都知事第1期目の副知事をつとめた人物。副知事の視点から石原都政を高く評価したもの。批判する記述は全くないのは、知事と著者との信頼関係のあらわれなのだろうか。
都庁職員と議員との関係に関して、著者はこう述べる。「一言で言うと、「議員は特権をもっている」と勘違いしている人とは付き合えない。結論を押しつけてくるから、まともな議論にならない。「議員は責任をもっている」と思っている議員とは、議論ができる。これは、都議会議員に限らず、国会議員や自治体の首長、あるいは政治家の秘書にも共通して言えることだ」。なるほど、著者のいう「責任をもっている」が具体的にどのようなことなのか、若干わかりにくいところもあるが、基本的にそのとおりだと思う。「特権をもっている」という意識で接されても、そこでは押しつけが生じるだけであり、何も積極的なものは生まれない。権利ばかりに目を奪われず、その裏返しとしての責任、ノブレスオブリージュを実践しているからこそ、特権を与えられるだけの社会的意義がある。