読了

北岡伸一国連の政治力学中公新書(2007) ISBN:9784121018991
東京大学法学部で日本政治外交史を教える著者が国連代表部次席大使として約2年半ほど活躍した頃の文章をまとめたもの。既発表のものをうまくまとめて1冊の本に仕上げている。異なった時期に書かれた時事的な文章を1冊の本にして違和感なくまとめるのは、大変なことだ。著者の全体を見る力のあらわれだろう。
国連の仕事というのは、どうもイメージがしにくい。国連は日本にとっても世界にとっても大事な組織であるはずなのに、そこで何がなされているのかについて書かれたものはそれほど多くない。本書は、著者の外交官としての経験に、著者の学識とエスプリがよい調味料になっているように思う。経験が主軸にあるだけに話題は時事的なものだが、その重要性からして、時代をこえて読まれることになろう。