読了

飯尾潤日本の統治構造中公新書(2007) ISBN:9784121019059
今、日本の政治システムについて学びたいのであれば、間違いなくこの本をすすめたい。
「はじめに」で著者は、次のように述べる。「説明のなかには、これまで聞いてきた話とは違う、目新しい言い回しが出てくるので、少しばかり難解な点があるかもしれない。だが、我慢強く議論につきあっていただければ、新しい切り口で日本の政治を見ることができると考えている」。著者のいうとおり、たしかに、一般的には目新しくみえる言い回しも多く、日本の政治についてあまり学んだことのない読者には、やや難しいかもしれない。しかし、本書にはよく切れる「新しい切り口」がたくさん散らばっている。日本の政治に興味がある人には、是非とも読んでもらいたい。
私が読むところ、本書の最大のポイントは、与党と政府との別を正面から認めたことであろう。官僚内閣制も、省庁代表性も、与党と政府との別がその根本にある。日本のなかで日本の政治を漠然とみていても、与党と政府との別には気がついても、何ら特別なことには思えない。そこに日本の特色を見出したところが、本書のすばらしさではなかろうか。