読了

猪口孝・岩井奉信『「族議員」の研究日本経済新聞社(1987) ISBN:4532094402
本書が扱う「族議員」の分析は、主に、「族議員」のキャリアのモデルケースの検討(第4章)、「族議員」の分類(第5章)、政策決定過程における「族議員」の影響(第6章)の3つである。特に後2者が本書の中心である。「族議員」を十把一絡げに同じ色に塗りつぶすのではなく、「族議員」を4種類に細分類し、また各族ごとの特徴を分析して、個別に政策決定過程をみることで、大別2つ(あるいは3つ)の族型政策決定モデルを提示する。
本書は、たぶん、「族議員」を学問的に扱った唯一の本。「族議員」という言葉が主観的であるだけに、学問的分析の俎上にはあげづらいのもやむをえないのかもしれない。この本も、出版してからもう20年、当時とは選挙制度も違えば、官庁も変わった。また、自民党も野党を経験し、今や連立政権の時代である。だが、今でも読む価値は十分にある。できれば、現代版を出版してほしいところ。