読了

宮崎市定科挙中公新書(1963) ISBN:4121000153
今はなき中国史家の古典的名著。今は中公文庫にも入っている。
隋代に始まり、清末まで続いた科挙。明代には学校制度と科挙が併用され、清朝では試験の上に試験を重ねる結果となってしまい、弊害ばかりが増すようになってしまった。学校試4つ(県試・府試・院試・歳試)、科挙試6つ(科試・郷試・挙人覆試・会試・会試覆試・殿試)の紹介が本書の主な内容。試験の方法等の紹介に、適度なエピソードをまじえ、とても興味深い。「なるべく主観をまじえずに、ただありのままに叙述して」という後序の言葉は、まさにそのとおりだと思う。
読みやすく、かといって内容のレベルを落とすわけではない。これぞ新書と思える1冊。40年も生きられる新書というのは、いったいどれくらいあるだろうか。