読了

竹内洋丸山眞男の時代中公新書(2005) ISBN:4121018206
「丸山の言説を個人のものとして分析する(せまい意味での)思想研究ではなく、戦後の大衆インテリの世界の中で丸山の言説を読み解く知識社会学あるいは社会史的アプローチによって戦後日本論を書い」たのが本書。著者は『立志・苦学・出世講談社現代新書(1991) ISBN:4061490389会学者。
著者の述べているとおり、思想史研究者による丸山論とはまったく視点が異なる。丸山個人に興味があるなら、はじめは物足りなく感じるだろう。丸山論というよりは、蓑田論であり、大衆インテリ論であると思えるからだ。しかし、蓑田胸喜を論じ、大衆インテリを論ずることは、すなわち丸山を論じることでもある。丸山はそういう時代を生き、そこで文章を書き、威信を得た。個人を論ずるには、その思想だけに着目するのではなく、もっと社会学的なアプローチをとることもできるのだと、改めて感じた。