読了

北岡伸一独立自尊講談社(2002) ISBN:4062105047
福沢諭吉の伝記。著者いわく、「この本の目的は、一般読者のために、現在の福沢研究の成果を盛り込みながら、福沢の全体像を一冊にまとめて紹介することにある」。そのとおりの本だと思う。何より文章がわかりやすい。字も大きくて読みやすい。ハードカバーではあるが、値段も手頃。
構成も読みやすいと思う。基本的に時系列だが、第11章「家庭と日常生活」は少し趣が違う。時代の流れ、政治の流れにそって書いていると、どうしても日常がもれる。日常生活の章はどこにでもおくことができるが、どこにおいても流れを妨げてしまうおそれがある。この位置は絶妙だ。
こういう本こそ、新書で出して欲しい。最近の新書は競争が激しいこともあり、粗製濫造が目立ち、また一時の流行に乗るものも多い。新書は、その携帯しやすさ、値段の手頃さも便利だが、最大のメリットは新刊でなくとも本屋の新書コーナーにいけば並んでいることにある。この本は、ぜひとも長く本屋に並んで欲しいと思う。文庫になってしまうと、小説などといっしょにならんでしまうので、この種の本は新書の方がうれしい。