読了

手塚治虫新選組手塚治虫名作集11)』集英社文庫(1995) ISBN:4087482995
表題作「新選組」のほか、新・聊斎志異シリーズの「女郎蜘蛛」・「お常」の2作品がおさめられる。この組み合わせはどうだろうか。量の都合からとりあえずくっつけたのかもしれない。趣旨、内容の全く異なる作品をひとつの本におさめる意味はあまりない気がする。「名作集」と銘打つなら、どういう組み合わせでおさめるかを考えて欲しい。
さて、萩尾望都の解説エッセイ「『新選組』にある喪失と再生」が面白い。萩尾はが漫画家になろうと思ったきっかけは「新選組」にあるという。意外だ。しかし、重大な影響を与えた作品にもかかわらず、上質の解説を書いている。重大な影響を与えれば与えるほど、解説を書くのは大変な作業なはずだ。なぜなら、どうしても客観的には見られなくなってしまうからである。萩尾のきっかけが本当にこの作品にあるのなら、にもかかわらず、このエッセイを書いた萩尾は本当の文学者だと思う。