読了

花見薫『天皇の鷹匠草思社(2002) ISBN:4794211783
著者は諏訪流第16代鷹師であり、宮内省鷹匠
「人鷹一体」という言葉が印象深い。鷹と鷹匠とが心を通じ合わせなければならないという。鷹は単なる狩りの道具ではなく、鷹匠にとってはパートナーなのだろう。著者は、「「鷹を主人と思って使える」という姿勢が何よりもまず大切です」とまで述べる。
人間同士であれば言葉があろうが、動物が相手では言葉は使えない。言葉なくしていかように心を通い合わせられるのか、それが動物を相棒とする文化の醍醐味なのだろう。諏訪流の鷹匠は、動物愛護の声に押されたのか、残念ながら宮内庁の手を離れてしまったが、民間団体たる日本放鷹協会へと受け継がれたという。「職業としての鷹匠」ではなく、「趣味としての鷹匠」となったとき、はたして文化が維持できるのか。課題も多いのだろう。だが、動物と心を通わせる文化、鷹匠は未来へと残してほしいものである。