読了

末広陽子私はチョウザメが食べたかった。河出書房新社(2003) ISBN:4309905455
父のアメリカ旅行の土産話、「チョウザメのステーキがいちばん旨かった!」、この言葉からチョウザメに関心をもった著者のチョウザメエッセイ。内容は、前半が「国際スタージョン交流協会」設立にいたるまでの体験談、後半がチョウザメについての四方山話といえばよいか。前半は話にまとまりがあるが、後半にはつながりがない。厚さを考えると、もっと工夫が必要だったと思われる。
キャビアの親たるチョウザメを食べるなんて、本書を読むまで知らなかった。そして、本書を読んでチョウザメを食べてみたくはなった。だが、本書を読むかぎり、チョウザメがブームになるとは思えず、食卓にのぼることも少ないだろう。現状ではたぶん、好奇心の的でしかない。町おこしとしての養殖も、住民は言葉を濁すという。
新商品の導入の際の判断の難しさなのだろう、本書でもギンザケの例があがっていたが、クリームスキミングを許せば発展は見越せない。チョウザメには今のところクリームが見つからないようだが、もし何らかの市場の変化があったとすれば、今までの地道な投資はどうなるのだろうか。少し気になるところである。