芥川龍之介「お時儀」が国語のテクストにとりあげられていた。文章に何か中途半端さをかぎとり、インターネットで検索してみたところ、なぜか文言が異なっている。仮名遣いを改めるとか、漢字を仮名表記にするといった、問題作成においてはやむをえない、比較的マイナーな改変ではない。私の理解をこえた手の加えようである。しかも、問題には改変について何も断り書きがない。
これはどういうことなのだろうか。芥川自身が複数のテクストを残していて、ネットで見つけたものと教材にとりあげられたものとは、ともに芥川のテクストなのだろうか。それならばよいのだが、その可能性は低いだろう。
国語の問題を作るにあたって、テクストの少々の改変はやむをえないだろう。問題として適度な分量にしなければならないし、抜粋のための都合というものもある。だが、それはあくまでもやむをえない作業であり、できることならば少々の改変でさえ避けるべきことなのではないか。出題者にも最低限のマナーがあるはずだ。出題者の感性を疑う。
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