読了

小森陽一小森陽一、ニホン語に出会う』大修館書店(2000) ISBN:4469221511
著者の日本語体験記とでもいうべきか。小学校時代をプラハのロシア語学校で過ごし、小学校6年生の3学期に帰国、その後の違和感、「国語」への恨み、国文科への進学、そして塾教師、大学教師の経験がおさめられている。
著者の経験は、言語のもつ政治性、話し言葉と書き言葉の相違、「国語」という科目のあり方などを浮き彫りにする。幼い頃から日本にいて、日本語だけの環境に育っていれば、なかなか自覚できないことだと思う。著者の経験を題材にすることで、それらの感覚が味わえる。
こういう本は、できれば新書でだしてほしい。新書になれば、本屋の新書コーナーに長く並ぶことになり、かなり長い期間にわたって読者と親しむことができる。内容も、読みやすさも、新書に適していると思う。大修館書店には新書がないのが残念だ。