読了

山崎敬之『テレビアニメ魂講談社現代新書(2005) ISBN:4061497898
現代新書らしい1冊だと思う。テレビアニメをまじめに取り上げられる新書はいまのところ現代新書だけではないか。
読ませる文章だ。テレビアニメのシナリオを長く手がけているからか、起承転結がしっかりしている。体験記として、とても読みやすく、面白い本だと思う。
しかし、この本、第3章だけが長い。他の章が長くても30頁弱なのに対し、この章だけ50頁をこえている。これはバランスを失している。その理由は、たぶん、この章の内容にあるのだろう。この章は、章のサブタイトルにあるように、「シナリオが原作を食う恐怖」についての話である。シナリオ制作者にとって、やはりもっとも重い部分なのだろう。だからこそ、量も自然と多くなったか。
ところで、本書とは関係ないが、現代新書の新しいカバーがどうも気に入らない。前のカバーの方が好きなのは、単なる保守主義の発露だろうか。