あれほどタクシーが多いのに、いざ拾おうと思うとなぜだかタクシーが来ない。来たと思ったら、先客がいたり、予約車だったり。仕方ないので目的地まで歩いて向かうと、あと半分というところで大量のタクシーに出会う。半分歩いてしまった手前、今からタクシーに乗るのはなんだか悔しい。悔しいから歩いてしまった。ところが、今度は道に迷う。普段と違う道を歩いたところ、どうやら曲がる角を間違えたらしい。少々彷徨ってどうにかこうにか目的地にたどり着いたものの、約束の時間より30分弱遅れてしまった。
日常的に存在しているからといって、自分自身が使うそのときに存在しているとはかぎらない。存在の可能性だけを信じて、行動に出たことが失敗の原因なのだろう。確実性を高めるならば、可能性はできるかぎり高めておかなければならなかった。まあ、一言でいえば、タクシーは呼ぶべきだった。値段は変わらないのだし。
ところで、この街はやたらとタクシーが多い。朝から流しているタクシーによく出会う。朝なんて、通勤通学手段は普通は決まっているだろうし、そんなに拾う人はいるのだろうか。タクシーを流すことのコストと、客を拾える可能性とは、はたして釣り合っているのだろうか。基本料金が安いこともあり、タクシーを見るたびに、いつも心配している。心配してはいるものの、積極的にタクシーを使うつもりはあまりないのだが。