選挙雑感

参議院議員通常選挙自民党大敗の模様。参議院民主党が第1党となるようだ。予算・条約・内閣総理大臣の指名においては、衆参の議決が一致しなければ衆議院の議決が結果として優先されるが、法律案の場合は衆議院で3分の2以上で再可決しなければならない。参議院は法律の立法過程において、案外重要な役割を果たす。
しかし、衆議院では、自民党が305議席公明党が31議席あるため、その気になれば、与党は参議院で法律案が否決されても衆議院で3分の2以上の再可決をすることが、数字の上では可能ではある。とすれば、それほど参議院与野党逆転が与える影響は大きくないともいえる。とはいえ、再可決を連発すれば世論の反発も大きかろう。
なお、公明党が与党を離れれば、衆議院の3分の2は確保できない。そうすると、立法過程における野党の役割は大きくなる。それに加えて、自民党から66人以上の離党者が出れば、衆議院でも過半数を割り、政権交代となる。だが、66人の衆議院議員をかかえる派閥は今のところなく、1つの派閥の行動だけで政権交代はなしえない。小沢一郎との距離を考えれば、旧保守党の流れを組む二階派がもっとも民主党に近いのかもしれない(そもそも民主党との距離をはかる際に、小沢に代表させることが妥当なのか、疑問は大きいが)。二階派衆議院議員は13人なので、あと53人も必要である。
とすると、政権交代はないといえよう。政権交代は、衆議院議員総選挙が必要である。今の任期は、2009年9月まで。遅くともそのときに選挙はあるのだから、与党としてはいつ選挙をすればもっとも議席を維持できるかを検討して、最善の時期に解散をするだろう。しかし、公明党が与党にとどまるのであれば、3分の2という大きな議席を確保しているだけに、解散という切り札は切りにくい。ともあれ、参議院議席配置は2010年7月までほとんど変わらない。3分の2をこだわるあまり時機を失してしまえば、衆参ともに自民党は第1党から転落することにもなる。
自民党としては、党イメージのアップにつとめ、秋の臨時国会、翌年の通常国会で、野党の参議院運営に対する国民の不満をあおろうとするだろう。解散の時期は、野党の参議院運営のあり方に大きく左右されるのではないか。さしあたり、年末あるいは来年の夏に解散総選挙となると予想する。