人生は選択の連続だ。もしあのときに別の選択をしていたら、いったいどうなっただろうか。誰しもかつての選択の意味を考えるときはあるだろう。
かつて編集者を志し、運良く拾ってくれた出版社があった。書籍配属予定は3名。そのうちの1人だった。本をつくりたかった。本づくりの手助けをしたかった。だが、最初からわかっていたことではあったが、どうしても踏み切れないものがそこにはあった。思い悩んだ末、その道を捨てた。あの選択の意味は何だったのだろう。
その後、書籍配属のうちの1人が、初めて担当した書籍を教えてくれた。未練というか、選択に自信がもてず、本屋に行かずにそのままにしていた。今日、偶然にも古本屋でその本に出会った。
まだ中は見ていない。この本を読んで、いったい何を思うのだろうか。そして、その友人は今どうしているのだろう。
選択の結果失ったものは大きいが、得たものもまた大きい。今、私はその友人と会って話せるだろうか。あのときの選択の意味を、はたして説明できるのだろうか。