読了

松尾貴史『オカルトでっかち』朝日文庫(1999) ISBN:4022612746
オカルト否定論エッセイ。私自身がオカルト否定論者なので、面白く読めた。
オカルト好きにすすめようと思ったが、夏目房之介氏の解説を読んで考えを改めた。夏目氏は本書を「オカルト否定論者のための本」だと述べ、「オカルトとの境界領域にいる人」を説得するためには、「そこに踏みとどまらなければ、アッチ側とコッチ側に橋を架けて議論をなりたたせることは不可能だろう」と述べる。そして、本書の前身たる著者の本は、「あやうい境界部分の感覚を残してた」という。
なるほど、結局のところ、説得するためには相手の土俵に入ったうえでなされなければならないのだろう。たしかに本書にはそのような視点がほとんどない。面白い本だが、残念ながらオカルト否定論者にしか楽しめないのかもしれない。