読了

荒木経惟『天才になる!』講談社現代新書(1997) ISBN:406149371X
「本書は、(中略)飯沢耕太郎氏が行ったインタビューを編集部がまとめたものです」。まとめの方針だろうが、ところどころ話す形式になっていない。本になった以上、それはもはや読むものなのだから、読みやすいように手を入れたのだろう。だが、個人的にはそういう手の入れ方はあまりしてほしくなかった。語りである以上、著者に目の前で語らせてほしい。例を2つほど拾っておく。
「その頃東京の下町言葉で「作工場」って言ってた。細工するとこだね。「さいこば」って発音してたかな、「さいくば」かな、子どもの頃は何のこと言ってるんだかわからなかった。」(8頁、これでは「作工場」は何と読めばよいのか)
「そう、時流じゃなくて、自流とか。」(89頁、文字がなければ意味不明)
ところで、本書の後半は、「関係」と「物」という対極的な概念について考えさせられた。「オレは事がなかったら写真じゃないと言ってるから。でも物派にならないと、もしかしたらちゃんとした写真家にはなれないのかもしれない。」(183〜184頁)