咳がでる。風邪ひいたかなあ。
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隣室騒音対策は部屋の模様替えしかないと思いたち、突如部屋の整理を始める。しかし、うちの部屋は本の山だ。本を動かすのはたいへんなので、さしあたりそれ以外のところに手をつける。するとなんだ、何でも捨てずにとっておく、捨てられない性格が災いして、処分すべき品々が次々と現れる。
ちょっとだけ整理を始めて気づいたが、今の部屋には前に進む要素が全くない。今すぐには必要でないものも、なんとなくとっておいてしまう。あれもこれもといろいろなことに手を染める。社会との、他人との関係性から自分の必要性を見出すのではなく、もっぱら自分との関係のみから、自分の存在を積み重ねた。そして、なにひとつ成功しなかった。その過程の集大成が今の部屋なのだろう。
隣室の騒音がなければ、模様替えなど考えもしなかっただろう。小さな変動をどこかで恐れているからだ。しかし、今回のいわば外圧によって、想定外の事態が小さな変動を呼び起こした。この小さな変動は、これまでの過程からみた今の自分の状態を自覚させるにいたった。
もうすぐ、新しい道がきっとできるだろう。そのとき、今の私から訣別できるだろうか。それは、決して過去を捨てることでもなければ失うことでもない。ただ、過去に生きることをやめることだ。過去はすでに私のなかにある。それ以上、過去は表に出るべきではない。過去があるから今があり、過去は今に不可欠なものだ。だが、過去はもう過去なのだから、そこに引きずられてはどうしようもない。
時間ができたら、まず過去の整理をしなければなるまい。過去を整理し、それをポケットに入れることができれば、やっと前に進める。今の状態では、過去が重すぎて、前に進めないだろう。