読了

岩井奉信『立法過程(現代政治学叢書12)』東京大学出版会(1988)ISBN:4130321021
立法過程について書かれた数少ない本のひとつ。類書は管見のところない。
出版年をみればわかるとおり、かなり古い。できることなら改訂してほしい。自民党が一時期政権からはずれ、連立政権の時代になり、改訂の必要は大きい。しかし、この現代政治学叢書シリーズは2冊欠巻があるからか、いずれも改訂されていないので、無理だろう。このシリーズは良書が多く、改訂してほしい本が個人的には数冊あるのだが、残念だ。
気になった点として、立法過程に関する法律・規則等への言及が少ないことがある。政治学の立場から立法過程を分析したのだから必要なかったのかもしれない。しかし、立法過程を分析するうえで、そのなかでどのような規範があるのかということは、ひとつ重大な要素ではなかろうか。そういう分析は法律学の仕事と割り切ることもできようが、小さなセクショナリズムにこだわる必要もない。
外国については知識がないが、日本においては立法過程に関して、政治学でも法律学でも、あまり研究の蓄積がないのではないか。もう少し、研究者がいてもよい分野だと思うが、なぜだろう。やはり、政治学法律学の間にはさまれてしまっているからだろうか。