結婚について(その2)

昨日は責任を背負い込むことに着目して書いたが、逆の考え方もあるのかもしれない。結婚というのは責任を負うことではなくて、責任を減らすことなのだと。
たぶん、そういう議論との本質的な違いは、責任の意味づけにあるのだろう。昨日の議論の前提は、責任というのは他者に向けられたものであり、事故に向けられたものではない。もし結婚が責任を減らすのであれば、それは他者に対してではなく、自己に対するものであろう。ひとりでいるからには、身の回りのことなど、自分の行動についてすべて自分で完結せねばならない。そういう孤独には当然苦痛がともなうだろう。苦痛を和らげるのが他者であり、家庭をもつということは、恒常的な存在としての他者をつくることである。結婚とは、苦痛の軽減ということもできる。
現代社会の特徴を孤独ととらえるのならば、結婚への憧れは増大しているのかもしれない。しかし、憧れは責任の軽視につながりかねない。その結果が破綻なのだろうか。離婚の増大というのは、結婚への憧れの裏返しなのかもしれない。