再読

高橋和之憲法判断の方法』有斐閣(1995)ISBN:4641031991
必要があって読み直す。この本に限らず、著者の議論は面白い。いわゆる通説とは異なるのだろうが、法学の議論に正解などあるわけもないのだから、面白いものがすなわちよい議論である。
憲法訴訟に関する著者の論文を集めたもの。「序章」のもとは司法研修所でのレクチャーであり、「(著者の)基本的な考え方をできるだけ平易に説明した」ものである。続く各章で、いわば各論が展開される。構成もわかりやすい。憲法判断の方法に関心があり、法学の基礎知識がある方にはおすすめ。
著者は憲法判断の方法について、文面上判断と適用上判断に分類するが、「文面上判断とは、法律そのものを直接憲法的に評価する方法であり、適用上判断とは、法律の適用によって生じる事態そのものを直接憲法的に評価する方法」と定義する。適用上判断の場合、法律上の文面上違憲判断が回避できるが、「法律の射程距離を曖昧のままに残すから、畏縮効果を除去できない」。そのため、「畏縮効果の早期の除去が必要な場合には文面上判断の方が適切である」とされる。