何か目的をもってひとつのことを成し遂げようとするとき、その目的に賛同できる人からみれば、そこでなされる犠牲は尊いものであり、名誉の負傷なのだろうが、その目的に反発する人や、そうでないまでも賛同しかねる人からみれば、単なる被害である。目的の正当性から犠牲を正当化するのは、実のところ何の説得力もないのではなかろうか。権力の正統性の根拠を論ずる意味はここにある。