システムを急に変えようとすれば、どこかにひずみが生じる。保守的な発想からすると、だからこそ、急な変革はできるかぎり避けるべきなのだ。しかし、さまざまな事情で急な変革が余儀なくされることだってないではない。そういうときに、できるだけひずみを小さくし、ひずみからくる問題をできるだけ小さくするのが、政策を司る者の腕のみせどころだと思う。できるかぎり被害を小さくするのが、政策の立案・調整を行う者のつとめではないか。
ひずみを弱者に押しつけるのは簡単だ。そして、ひずみを弱者に押しつけていると批判するのも簡単だ。本当の問題は、何がひずみであり、誰が弱者なのかということだ。ひずみが何かを理解せず、誰が弱者かもわからないようでは、改革などはじめからしてはならない。