杜牧の題烏江亭という漢詩がある。巻土重来で知られる詩。
勝敗兵家事不期
包羞忍恥是男児
江東子弟多才俊
巻土重来未可知
私に項羽ほどの才能があるはずもないが、今は耐え忍び、再起を図るべきだとのことだろう。
さて、たしかに勝敗はなかなか予想できないものではある。しかし、今回については少しはずしすぎた気がする。個々の戦闘に関しては、予想を大きくはずすことも少なく、どちらかといえば順調だったといえようが、全体の戦局をみると、これは完敗であった。戦術はよくても戦略が間違っていたといえようか。
戦略の誤りは大局の分析の甘さが原因だろうか。己の分析も少々甘かったが、より問題だったのは彼の分析であろう。敵方の分析がいい加減にすぎた。これも大別2つのレベルで判断ミスをしており、この両者のミスがあいまって、戦略は結果論として致命的な欠陥をもってしまった。
巻土重来には戦略の転換が必要だろう。ただ、今回の場合、戦略と信念は同じ方向を向いていたからこそ、戦術的なミスは少なかったわけだが、戦略を転換するとなれば、信念との関係が問題となる。これに関しては、期間の変更で対応できないだろうか。1年先だけをみるのではなく、もっと広いスパンでみてみると、戦略にもまた違った色をつけられよう。そのなかで、戦略と信念との折り合いをつけられれば、戦術も活きたものとなる。
あとは以上の見取り図に具体性を伴わせることになろうが、はたしてそう簡単に折り合いがつくのだろうか。しばらくは大局観を養うことにしよう。そして、私にはそれが一番向いているのかもしれない。